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拭い難い記憶を抱えたまま、生きていかねばならない日々の中で紡がれた言葉。
<ディアスポラの詩人> 金時鐘の詩をテキストに、日本語を母語とする俳優たちが向き合う。
2022年12月
[東京]7日(水)〜11日(日) テルプシコール(中野)
[京都]21日(水)〜25日(日) The side(麩屋町通五条)
サミュエル・ベケット『わたしじゃない』の新演出で言葉と身体の関係を静かに、しかし激しく揺るがした木村悠介が、日本の現代詩においても特異な存在として多くの人々に影響を及ぼす金時鐘(キム シジョン)の詩を通して、日本語の内なる外の領域を探る。
戦後日本に渡り、「在日」として生きながら日本語で詩を書き続けてきた金時鐘。日本語への「報復」として編まれたその言葉は、「日本語」の言語体系に静かな撹乱をもたらす。
本作は長期プロジェクト「罵倒の作法」のクリエイション第一弾として上演される。
金時鐘の詩に込められた、ある人々の身体に刻まれた記憶と声。罵倒を押し殺して生まれ出たかのような言葉と、そのような言葉を抱えた生の在り方から編み出された「罵倒の作法」は、他者の言葉を語ることを生業とする俳優の身体とその在り方にどのように響くだろうか?
【重要なお知らせ】
本公演に出演予定の伊藤彩里がPCR検査の結果・陽性となりましたので、東京公演を降板することとなりました。
以下、主宰・木村より
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今回、出演者の伊藤彩里さんが体調をくずされ、検査を行ったところ、感染が確認されました。幸い、症状に関しては重篤なものではなく、快方に向かっています。ただ残念ながら東京公演に関しては隔離期間と重なってしまうため、やむなく伊藤彩里さんのご出演を取りやめることとなりました。他の出演者については陰性が確認されています。
今回の作品は演劇作品とはいえ、いわゆる会話劇のようなものではないため、伊藤彩里さんのシーンをカットした上でも作品として成立しうると判断いたしました。もちろん東京公演は意図していた完全なものではなくなってしまうことには変わりありませんが、現在の状況の中で舞台芸術というものを続けていくには、作品の送り手として、このような事態を受け入れながらやっていくしかないだろうと思っています。
もちろん作品の受け手である皆さまには、完全でない作品を観ることに価値を見出していただけないこともあるだろうと、自然に受け入れております。せっかくお時間を空けていただき、ご予約いただいた皆さまにおかれましては、ご来場のキャンセル等も受付けておりますので、気兼ねなくお申し付けください。
完全ではないとしても、十分に価値のある時間を作り出すために、出演者・スタッフ一同、一丸となって東京公演の準備を進めています。また京都公演では全員が出演する万全の体制での上演を予定しております。
何卒、ご理解いただきますよう、心よりお願い申し上げます。
木村悠介
「罵倒の作法」02
『日日よ、愛うすきそこひの闇よ』
2022年12月
【東京公演】
7日(水)20:00
8日(木)14:00 / 20:00
9日(金)14:00 / 20:00
10日(土)14:00 / 18:00
11日(日)14:00
上演時間:約90分
会場:テルプシコール(中野)
東京都中野区中野3-49-15-1F
中野駅南口から徒歩8分
【京都公演】
21日(水)19:30
22日(木)14:00 / 19:30 ☆1
23日(金)14:00 / 19:30
24日(土)14:00 / 18:00 ☆2
25日(日)14:00
☆ = 終演後、ポスト・パフォーマンス・トーク開催
[ゲスト]
1 = 細見和之(京都大学教授・詩人・大阪文学学校校長)
2 = 八角聡仁(批評家、近畿大学教授)
上演時間:約100分
会場:The side(麩屋町通五条)
京都府京都市下京区下鱗形町543 有隣文化会館 2F
地下鉄 烏丸線「五条」駅 出口 3
阪急 「河原町」駅 出口 2B
*受付は開演の30分前、開場は15分前より開始。
*当日、体調のすぐれない方はご来場をお控えください。
*会場ではマスクのご着用、手指の消毒にご協力ください。
*会場内は上演直前まで暖房器具をつけておりますが、上演中は切る可能性が高いため、調節できる服装にてお越しください。
【料金】
前売 ブロック指定席 3200円
自由席 2800円
学生&U30(自由席) 2000円 (各 当日500円増)
金時鐘 KIM Shijong
1929年朝鮮釜山市生まれ。父は元山市(現・北朝鮮)、母は済州市(現・韓国)出身。日本の植民地統治下で幼い頃から日本語に親しみ、皇国少年として育つ。朝鮮語に疎くハングルひとつ書き取れないまま16歳で終戦を迎える。その後、朝鮮人としての自覚を深めるとともに社会主義に共鳴。済州島四・三事件に関わり、1949年に両親を残し日本に渡る。同胞からの批判にも抗し、一貫して日本語で詩作を続ける理由を金時鐘は「日本語への報復」とある時に表現している。
詩集に『長篇詩集 新潟』(構造社)、『なくした季節—四時詩集』(藤原書店、高見順賞受賞)など。現在、『金時鐘コレクション』(全12巻、藤原書店)が刊行中。
演出:木村悠介
テキスト:金時鐘『集成詩集 原野の詩』(立風書房)
出演:磯和武明 伊藤彩里 井上知子 三鬼春奈 三田村啓示
照明:杉本奈月(N₂ / 青年団)
衣装;新庄範子
舞台監督:ステージワークURAK
演出助手:山崎恭子(居留守)
制作:金井美希
文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業
主催:&Co.
&Co.
舞台芸術や現代美術、メディア・アートなどの芸術領域を横断しつつ、新たな芸術表現の創出や観客を巻き込んだ感性の交流を促し、芸術文化の多様な発展に資することを目的とする。長らく個人名で作品を発表してきた代表の木村悠介が自身の制作基盤を固めつつ、特定の個人名に集約されない多様な才能が行き交う場所を開拓すべく、2022年に設立。木村が2021年から始動させた5年間の長期プロジェクト『罵倒の作法』の企画制作を引き継ぎ、2022年は在日の詩人・金時鐘の詩をテキストとした演劇作品の制作・発表を予定。演劇、ダンス、メディア・パフォーマンスなどジャンルにとらわれず作品を発表していくほか、所属アーティストのマネジメント・派遣、外部アーティストとのコラボレーション、アートの視点からの社会的課題の解決に向けた取り組みなどを行う。