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「罵倒の作法」03 司辻有香 新作上演

世界中を飛び交う罵詈雑言や攻撃性に対抗する「罵倒の作法」第二弾クリエイションとして、個の奥底の叫びをえぐり取る司辻󠄀󠄀有香の新作を上演します。司辻󠄀󠄀作品の関東初上演に、これまでベケットや金時鐘の言葉にストイックかつ斬新なアプローチを行ってきた木村悠介が挑みます。本クリエイションでは散文体による司辻󠄀󠄀の新作執筆とその言葉をいかに俳優の身体が引き受けるのかに焦点を定めた上演を行います。

「罵倒の作法」プロジェクト詳細はこちら

身体はいつの間にか社会的になる。気がつけば、もうすでに全身が日々の生活のために制度的な機能を働かせる。権力に奉仕する身体。そのどうにもならない違和に向けて身体が言葉を書く。言葉を書くそばからまた違和が見つかり、言葉は果てしのない闘いになる。身体は欲望でみちあふれ、あなたを求めていたというのに。このわたしの身体を生活にあまんじる身体からあなたを求める身体へと作り変えるために言葉があるのだ。司辻󠄀さんの劇の言葉は闘いの言葉である。つまり、それこそが演劇なのだ。

松田正隆(劇作家・演出家)

【期間限定公開】

司辻󠄀有香(辻󠄀企画) 過去作品 

【日時】
2023年7月
7日(金)19:30
8日(土)14:00 / 18:00
9日(日)14:00

全ての回で上演終了後にポスト・パフォーマンス・トークを開催します。

[出演]木村悠介、ゲスト
ゲスト=7日19:30 渋革まろん(批評家)
    8日14:00 司辻󠄀有香、18:00 松田正隆(劇作家・演出家)
    9日14:00 三鬼春奈

*受付・開場は開演の30分から開始。
*当日、体調のすぐれない方はご来場をお控えください。
*会場ではマスクのご着用、検温、手指の消毒にご協力ください。

【会場】
SCOOL(三鷹) web

東京都三鷹市下連雀 3-33-6 三京ユニオンビル 5F
三鷹駅南口・中央通り直進3分、右手にある茶色いビル5階

【料金】
前売 一般:2300円
   学生&U25:1800円  (当日500円増)

司辻󠄀有香 Arika Kasatsuji
1981年、富山県出身。劇作家・演出家・俳優・辻󠄀企画主宰。京都造形芸術大学(現・京都芸術大学) 映像・舞台芸術学科 舞台芸術コース第1期卒業。直截な言葉を用いて、生身の視点から愛を描く表現が「皮膚感覚的」と称される。作品に、『愛と悪魔』(第12回OMS戯曲賞佳作)、『I love you (In the bed)』(第2回京都芸術センター舞台芸術賞佳作)等がある。

木村悠介 Yusuke Kimura
京都造形芸術大学で舞台芸術と映像芸術を、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)でメディア・アートを学び、2012年に渡独。HZT Berlinで身体を軸にしたソロ・アーティストとしての教育を受け、2016年に帰国。扱う主題やメディア、表現形態の歴史や構造に着目し、<自他境界の撹乱>を通底したテーマとする。またパフォーマンス・グループ「gallop」でも活動を行う。 Web Works Biography

三鬼春奈 Haruna Miki
1985年生まれ。名古屋出身。 俳優。パフォーマー。 京都造形芸術大学(現京都芸術大学)映像・舞台芸術学科 舞台芸術コース卒業。 大学入学と共に京都に移住。18年間京都で活動していたが、2022年拠点を東京に移す。 主に俳優として活動しており、これまでに、努力クラブ、笑の内閣、カイテイ舎、等京都の小劇場を中心に出演をしてきた。木村悠介の、前作「罵倒の作法」02『日日よ、愛うすきそこひの闇よ』にも出演。 
また、共同演出・出演をメンバー全員で行うパフォーマンス・グループ「gallop」のメンバーで、「gallop」の全作品に参加している。

作:司辻󠄀有香(辻󠄀企画)

演出:木村悠介

出演:三鬼春奈

助成: 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 [ スタートアップ助成 ]ACT_logo-01.jpg

主催:&Co.


ARCHIVES

「罵倒の作法」02
『日日よ、愛うすきそこひの闇よ』

拭い難い記憶を抱えたまま、生きていかねばならない日々の中で紡がれた言葉。
<ディアスポラの詩人> 金時鐘の詩をテキストに、日本語を母語とする俳優たちが向き合う。

2022年12月
[東京]7日(水)〜11日(日) テルプシコール
[京都]21日(水)〜25日(日) The side

サミュエル・ベケット『わたしじゃない』の新演出で言葉と身体の関係を静かに、しかし激しく揺るがした木村悠介が、日本の現代詩においても特異な存在として多くの人々に影響を及ぼす金時鐘(キム シジョン)の詩を通して、日本語の内なる外の領域を探る。

戦後日本に渡り、「在日」として生きながら日本語で詩を書き続けてきた金時鐘。日本語への「報復」として編まれたその言葉は、「日本語」の言語体系に静かな撹乱をもたらす。

本作は長期プロジェクト「罵倒の作法」のクリエイション第一弾として上演される。
金時鐘の詩に込められた、ある人々の身体に刻まれた記憶と声。罵倒を押し殺して生まれ出たかのような言葉と、そのような言葉を抱えた生の在り方から編み出された「罵倒の作法」は、他者の言葉を語ることを生業とする俳優の身体とその在り方にどのように響くだろうか?

金時鐘 KIM Shijong
1929年朝鮮釜山市生まれ。父は元山市(現・北朝鮮)、母は済州市(現・韓国)出身。日本の植民地統治下で幼い頃から日本語に親しみ、皇国少年として育つ。朝鮮語に疎くハングルひとつ書き取れないまま16歳で終戦を迎える。その後、朝鮮人としての自覚を深めるとともに社会主義に共鳴。済州島四・三事件に関わり、1949年に両親を残し日本に渡る。同胞からの批判にも抗し、一貫して日本語で詩作を続ける理由を金時鐘は「日本語への報復」とある時に表現している。
詩集に『長篇詩集 新潟』(構造社)、『なくした季節—四時詩集』(藤原書店、高見順賞受賞)など。現在、『金時鐘コレクション』(全12巻、藤原書店)が刊行中。

演出:木村悠介
テキスト:金時鐘『集成詩集 原野の詩』(立風書房)

出演:磯和武明 伊藤彩里 井上知子 三鬼春奈 三田村啓示

照明:杉本奈月(N₂ / 青年団)
衣装;新庄範子
舞台監督:ステージワークURAK
演出助手:山崎恭子(居留守)
制作:金井美希

文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業

主催:&Co.


&Co.

舞台芸術を中心に領域横断的に活動を行ってきた木村悠介が特定の個人名に集約されない多様な才能が行き交う場所を開拓すべく、2022年に設立。木村が2021年から始動させた5年間の長期プロジェクト『罵倒の作法』の企画制作を引き継いだ。

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